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更新再開のお知らせ

 せっかくウェブ上に論説の「仮置場」を設けたというのに、半年近くにわたって放置してしまった。この間、いくつか時評や書評、映画評などの下書きをつくってはいたのだが、それらはどうにも、個別に論ずるべきものというより、むしろ大きなつながりを持ったものとして考えるべきであるように思え、そのまま提示することが躊躇われていた。
 しかし現実問題として、それらの事象を包括的に論じようとすると、おそらく更新は年単位で先になるであろうこと、その物量は膨大なものになるであろうこと、そして生来の遅筆と怠惰から、あるいは途中で放棄してしまうであろうことといった、いくつかの問題や危険性を鑑みて、いささか断片的な形ではあれ、議論を少しずつ提示していくよう、方針を改めることにした。
 もっともこれは、複数の論説に相互にリンクすることが容易な“ブログ”という発表形式に、あるいはより相応しいやり方であるかもしれない。前回の書評では、雑誌論文的な記述形式を採っていたが、以降は少しずつ形式を変えながら語ることを考えている。

 さて、そこで今後どのようなことを論じるかを、ある程度あらかじめお断りしておこうと思う。もちろん議論を進めるうちにそこに収まりきらないものも出てくると思うが、それでも、だいたいの意図を最初に伝えておくことは無駄ではないだろう。
 筆者が以後しばらく、この「通信」を通して論じていこうと考えているのは、現代日本の、特に左派(とされる)言論人の思考を強く規定している、ある種のモード(それを“イデオロギー”と言ってもいいだろう)についてである。より踏み込んで言うならば、現代日本の左派ないし“リベラル”が、無残なまでの自壊現象をすすんで引き起こしているその一つの要因を、ある時代のロジックを参照しながら考えなおすことである。

 近年、日本の出版界では「1968年」が注目されているようだ。これはひとつには、当時の反体制運動をになった全共闘世代が老年に達し、その体験がオーラル・ヒストリーという形で歴史化されつつあることの表れでもあろう。それ自体は悪いことではない。だが、なぜ「1968年」が象徴的な意味合いを強く帯びて、出版産業から価値性を見出されているのか、その意味は今少し注意深く見なおされた方がいい。とにもかくにも、記録が残されることはいいことである、というような機会主義的な見方には慎重であるべきだ。
 あくまで私見に基づく仮説ではあるが、こうした(いささかならずニッチではあれ)“68ブーム”とでもいうべき現象は、おそらく出版界ないし言論界における思考のモードが、あらかじめ「1968年」によって代表される、70年安保前後のイデオロギーによって規定されているためではないだろうか

 現代日本の左派論壇における言論人の、仲間同士でのだらしない癒着から生じた「転向」を批判し、現在は新潮社ほかとの裁判を継続中である金光翔氏は、その論考「<佐藤優現象>批判」(初出:『インパクション』第160号、インパクト出版会、2007年11月)に先駆け、2006年12月の時点で、自身のブログ記事にて、「吉本隆明の影響を受けた全共闘系のモノ書き」のイデオロギーこそが、言論の右旋回と「リベラルの自壊」(徐京植)を用意したのではないかと述べている。
 この問題提起は重要である。第一にこの議論からは、かつて革新的であった(あるいは“あるとされた”)思考様式が、いまや何ら革新性をもたず、むしろ日本社会の保守化を推進する機能を担っているのではないかと考え直す必要が生じてくる。また第二に、そうした思考のモードが、現代左派の思考様式を規定しているならば、現在の“68ブーム”は、今まさに消えて行こうとする「敗者の歴史」を文字に留めようとする営みとしてのみは、ありえないことになる。
 本「通信」では以降、いくつか近年の書籍や映画などをとりあげながら、こうしたイデオロギーが、いかに現在も強くわれわれの文化に浸透しており、しかもそれが今や、ラディカルさを保ちえていないばかりか、かえって大きな弊害をもたらしているかということを論じていこうと思う。
 最初に断ったとおり、いくつかの具体的な分析をもとに、行きつ戻りつしながら全体的なテーマを浮かび上がらせるような形式をとりたいと思っているので、いささかならず迂遠な試みになるかもしれないが、お付き合いいただける読者が1人でも2人でもいれば、幸いである。
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